« 天気悪いよね~でも粛々と政界ウォッチ…そして分団会議@三田豊岡町会会館 | トップページ | 台風一過に鰻と大学とパレードの準備@三田~新橋 »

2009年10月 7日 (水)

公共事業と国土開発にまつわる雑感@赤坂オフィス

龍之助の父は、岩手県の衣川村出身。大家族のなかで育てられ、遠く離れた地区にある小学校にもろくに通わせてもらえず、子供の頃から炭焼きなどで生計を助けていたそうです。

父の生まれ育った集落は、ダムの底に沈みました。一家はより開発の進んだ集落に移り住み、その後訪れる高度経済成長期にも、目立った発展はしなかったけれど、家を守る長男以外は皆関東地方に出稼ぎに来て、そこで所帯を持ち、新たな生活を始めたのでした。増沢、という父の一家の住んでいた集落の名前は、いま、ダムの通称名として残るのみです。

昭和20年当時の、奥羽の山奥の小さな小さな村落の生活は、とても貧しく、不便だったことでしょう。当然、今のように道路が整備され、電気や電話、水道も整備され、自家用車も持てる田舎生活とはまったく違ったものだったはずです。

そんな時代のダム開発事業は、もしかして「集落の救世主」と受け止められたかもしれません。国家補償があって、より快適な生活を保障され…故郷を去る、重大な、でも前向きな契機だったかもしれません。

でも今の時代は…違うでしょう?故郷を離れて羽ばたきたくても羽ばたけない時代でもないし、ひなびた集落だからって劣悪な生活環境に甘んじなければならない理由もない。だから、故郷の集落をダムに沈めることで、引き換えに得られる人生があるなら、個々人の選択の範囲でそもそもそれは可能だったはず。

「八ッ場ダム」の建設中止を、「住民の意思を無視した」と批判する方々もおられますが、果たしてそうなのでしょうか?あるニュース番組で、水没予定地区に今も住む、50代後半の男性のインタビューを見ました。その方は、「生まれ育ったこの地区を守りたいから、今でもここに住んでいるし、ダム建設が中止になったら、ずっとここに住みたい」と。

その方は、消防団の活動服を着ていました。番組の中ではそう紹介されてはいませんでしたが、消防団員なら見れば分かるでしょう。この男性は、単純に、生まれ育ったこの地区を愛していて、離れたくなくて、そして守りたいんだ。そういう人を追い出してまでのダム建設の必要は、本当にあるのでしょうか…。

故郷を離れたい人は離れればいい、でもそのために国のお金を当てにするのはさもしい…。藤井財務大臣と同じ、新自由主義者で功利主義者の龍之助は、そう思うことを禁じえません。

ダム建設を中止しても、別の公共事業の形での地域振興の可能性は、まだまだあります。片山善博鳥取県前知事が、ダム建設を中止した集落に、手厚く道路整備などを行い、地域住民の信頼を回復した前例もあるし。治水・利水がダムでなければ不可能な時代は、とうに過ぎたようです。私の尊敬する政治学者、蒲島郁夫県知事のいる熊本県でも、川辺川ダム建設中止の決断が下されていますし。

沖縄県の泡瀬干潟の問題は、自然環境や景観の保護に、雇用対策も絡んだ問題で、複雑です。でも、バブル期じゃあるまいし、リゾート開発が薔薇色の地域経済振興につながるなんて、そんな古い考えはやはり通用しないでしょう。広島県福山市鞆の浦の、架橋のための埋め立て免許の交付差し止め訴訟で、広島地裁は、「景観利益」の保護を理由に差し止め請求を認容し、画期的な行政訴訟とさえ言われました。

これが、「成熟した社会」のあり方なのだな…と実感。2016年オリンピック招致合戦は、実質的に「開発途上型」リオデジャネイロ対「成熟社会型」東京の争い、と表した評論を読み、そうだったのかぁ~と納得。

日本には、もう、ダムや公害の問題に代表されるような、国土開発や利便性の追求のために、国民生活や、健康、自然が犠牲になる時代はとっくに終わってしまったのです。

新時代の新しい価値、それは、一回り巡って古き良き景観を、故郷の共同体を、守り育てることかも知れません。

|

« 天気悪いよね~でも粛々と政界ウォッチ…そして分団会議@三田豊岡町会会館 | トップページ | 台風一過に鰻と大学とパレードの準備@三田~新橋 »

地域を活性化!」カテゴリの記事

政治の動き」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1242470/31689023

この記事へのトラックバック一覧です: 公共事業と国土開発にまつわる雑感@赤坂オフィス:

« 天気悪いよね~でも粛々と政界ウォッチ…そして分団会議@三田豊岡町会会館 | トップページ | 台風一過に鰻と大学とパレードの準備@三田~新橋 »